711裁判転載


[コメントツリー表示を見る] [発言時刻順表示を見る]

Posted by 711! on 2007/06/28 16:56:34:

    セブンイレブン・ロスチャージ事件の最高裁判決出る 2007/06/16 ------------------------------------

     平成17年2月24日、東京高裁で「セブンイレブン本部に不当利得返還命令」の判決が出された。この画期的な判決が出された時から2年あまりが経過した本年、上告されていた本事件の判決が、さる6月11日に最高裁で出されました。

     筆者が予想していた通りのものでありました―「高裁判決破棄、差し戻し」。上記判決文をお読みいただければおわかりかと思いますが、簡単に説明すれば、「セブンイレブンが一方的に定めたチャージ計算方法については、加盟店勧誘説明の時に説明はされたようなので、加盟店も納得・了解したものと考えられる。したがって、不当利得とした高裁判決には誤りがあったので、高裁判決を取り消す。しかし、実に不正確で、わかりにくい表現・記載であるから、加盟店が本当に理解して契約したかどうかもう一度東京高裁で審理する必要があるので、差し戻しすものとする。」というものでした。

     この判決は、最高裁は玉虫色の判断を下したということであり、何かの力が働いたのか、セブンイレブンという企業の行く末に対する政治的な判断をしたのだろうか、が考えられるものでした。また、この判決では事実認定について次の欠落・誤認がありました。

    ●契約締結後の事前研修や試用期間での会計説明を、契約前の説明義務と誤認している。
    ●会計の専門家や弁護士、そして、裁判官にもわかりにくいコンビニ会計について、一般人が理解していたはずだという間違った推定をしていた。

     いずれ、東京高裁に差し戻しとなり、今後は「加盟店経営者が本当に事前説明を受けていたのか、そして、特殊な会計を十分に理解していたのか」ということが中心的な争点として再度審議されることになりました。筆者の予想では、会計の専門家にすら短時間で理解できない会計システムを、一般人が理解できるはずだという立証責任はセブンイレブン本部にあり、これを立証することは大変困難なことだと思われます。したがって、セブンイレブンは和解申し出をすることで判決を避けるものと思われます。

     また、この度の最高裁判決では画期的と言える判断や補足意見を出されました。ひとつは、「廃棄・棚ロス(売れ残った弁当・おにぎりなどや万引きなどされて紛失してしまった商品)にもチャージがかけられている」という事実認定であります。過去において、セブンイレブンばかりでなく、全てのフランチャイズ・コンビニ本部がこの事実を否定してきたことが虚偽であったということが明らかになりました。そしてもうひとつは、加盟契約書のコンビニ会計についての記載は、大変不明確で、わかりにくく、疑義をもたれ、加盟店が錯誤に陥る可能性が高く、契約無効になることもあり得るので、契約書を早急に改善すべきであるという裁判官2名による意見であります。最高裁小法廷4名のうち、半数が述べた補足意見であります。

     今回の判決は、不当利得返還をキャンセルされたという点では、セブンイレブン本部の勝利かもしれませんが、実は決してそのような軽い判決ではないのです。セブンイレブンが、加盟契約前に必要十分な説明を行なったという立証を自らできない限り、不当利得、又は、錯誤無効というそしりは免れないということなのです。今後同様の裁判が他チェーンにおいても頻発してくるでしょう。今回の判決はこのような訴訟に歯止めをかける判例にはならなかったばかりでなく、最高裁は確定判断を先送りしたというものでありました。なお、本年7月に右に掲載したコンビニ問題第2弾の書籍を発行することになりましたが、この書籍では加盟店勧誘の注意点から加盟店脱却までの方法について詳細に説明しましたので、参考にしていただければ幸いです。

    (安藤一平)



inserted by FC2 system